生型砂は再生して何回も使うが、再生回数が増えるにしたがって粘結力が落ちてくる。その為再生砂では新砂と共にベントナイトも補給して十分混練し、生型砂としての機能を管理する必要がある(表1)。
混練は生型砂の機能を発揮するために最も重要な工程であり、砂と粘結材およびその他の添加剤とともに水を混ぜて混練機によって行われる。
混練機には混練を主にするものと、撹拌混合を主にするものに大別されるが、その目的は混合する成分を均一に混ぜることと、粘土の粘結性能を十分に発揮させることにある。
混練時に補給する水分は造型性能、鋳型の強さや鋳造時のガスの発生に密接に関係するのでその量は精密な管理が求められる。この水の吸収によりベントナイトに粘結性を出させる。
ベントナイトは膨潤性を持っているので混練には十分な時間が必要であるが、コンパクタビリティ(CB値)により水分の管理を行う。また時間を短縮するために本混練の前に別の混練機により補給ベントナイトと共にある程度の水を補給して予備的な混練を行い混練の時間を短縮する方法などがとられる。
一定の品質の鋳物を得るためには鋳型の品質を一定に保たねばならない。その為に必要な鋳物砂の管理に関しては砂を突き固めた標準試験片を用いて行う試験方法がJIS
Z 2601「鋳物砂の試験法」で定められている。以下その項目の概要を記す。
- 圧縮強さ試験 1秒間に0.3N/cm2 の荷重速度で圧縮し破壊したときの荷重を試験片断面積で除したもの値をG.C.S.として表す。
- 通気試験 試験片に於いて一定の圧力の空気が流れる速度をいい、Pで表す。
- 表面安定度試験 試験片をふるいの上で振とうを与えたときの砂粒子の剥離量を試験前の質量の比として求め、S.S.I(%)で表す。
- 全粘土分試験 水中を25mm/minの速度で沈降する粒子と、水に可溶な物質の集合を試料全質量に対する比で定義し。TC(%)で表す。
- 活性粘土分試験 添加されたベントナイトの内、粘結力を保っている粘土分を言う。
- コンパクタビリティ試験 一定の条件のもとに採取した生型砂を、一定の圧力ものとに圧縮したときの収縮率を言い、C.B. (%)で表す。
- 水分試験 生型砂に含まれる遊離水分量を試料全質量に対する比で定義しM(%)で表す。
- 水分感度試験 水分の変化によるコンパクタビリティの変化を言い、コンパクタビリティが10%変化するのに必要な水分の量として表す。
- 混練度試験 生型砂の圧縮強さ、コンパクタビリティ値、および水分量から求めた指数の比で定義し、B.I(%)として表す。
- 強熱減量試験 生型砂の吸着水分、層間水分、結晶水分、熱分解物質、燃焼物質のすべての質量の試料質量に対する比をL.O.I.(%)で表す。
- 粒度試験 全粘土分試験で取り除いた残りの全粘土をふるいに掛けた時の、各粒子ごとの試料質量に対する比をR(%)で表す。
管理項目 |
管理値 |
管理幅 |
測定頻度 |
実施比率 |
水分 |
3.1〜5.0% |
0.2〜0.5% |
8/日 |
100% |
コンパクタビリティ |
30〜50% |
2.5〜5% |
2/日 |
76 |
生型圧縮強さ |
7.5〜15 N/cu |
1〜2 N/cu |
2〜8/日 |
100 |
表面安定性 |
80〜90% |
85%以上 |
2/日 |
81 |
通気度 |
100〜150 |
5〜20 |
2〜8/日 |
100 |
全粘土分 |
5〜15% |
0.5〜2.5% |
1/週 |
81 |
活性粘土分 |
5〜10% |
0.5〜1.5% |
1/週 |
62 |
粒度試験(指数) |
GFN 55〜130 |
2.5〜5% |
0.5〜4/月 |
81 |
強熱減量 |
2.5〜5.0% |
0.1〜0.5% |
1〜2/週 |
81 |
表1 生型砂特性の主な管理項目とその測定頻度
1) 日本鋳造工学会編、鋳造工学便覧、p73、丸善 (H14)
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