鋳型の原料となる砂で、鋳物砂とも言う。鋳物砂の組成は骨材である砂粒と、粘結剤および各種の添加物からなっている。骨材を構成する砂の性状によって鋳型の機能が左右される。天然の山砂が広く用いられているが、このようなものでは品質、供給が安定していること、および鋳込まれる溶湯と化学変化を起こさず、耐熱性を持っていることが必要条件である。
これらの条件以外に鋳型として使うためには、鋳型が必要としている強度や表面粗度、さらにはガスが抜けやすい性質、つまり十分な通気性のあることが求められる。また造型するに際しての充填性や、再利用の可能性などの条件も満足していなければならない。これらは砂の粒度構成や粒径などに制約を課していることになる。
このような条件を満足する砂としてはシリカを主成分としたケイ砂が用いられるが、その性状はJIS G 5901(1974)で「鋳型用ケイ砂」において化学組成、粒度構成などが規定されている。またJIS
Z 2601(1993){鋳物砂の試験法}では粒度指数が規定されている(表1)。ここで粒度指数とは砂粒子を球と考えたとき、単位重量当りの表面積の平均値の総和を表していて、図1に示すように通気性と強い相関を持っている。
ケイ砂は国内で広く産出されるが海外からはオーストラリアから輸入されるものが多い。またケイ砂の他に使われる砂としては鋳鋼、特殊鋼用に使われるジルコンサンド、クロマイトサンドなどがあるが、生砂(なまずな)として用いるには使用法に制約がある。
鋳物砂には粘結効果のあるベントナイト、鋳肌不良対策や表面安定性対策用としての澱粉、鋳肌改善や焼付き防止用としての石炭粉など、用途によって様々な添加剤が使われる。これらに水を加えて混練して鋳型を作る。
ふるいの呼び寸法
(μm) |
径の平均 Dn
(mm) |
SnのRound No. |
|
3350 |
5.025 |
5 |
2360 |
2.855 |
8 |
1700 |
2.030 |
11 |
1180 |
1.440 |
16 |
850 |
1.015 |
22 |
600 |
0.725 |
31 |
425 |
0.513 |
44 |
300 |
0.363 |
63 |
212 |
0.256 |
89 |
150 |
0.181 |
125 |
106 |
0.128 |
177 |
75 |
0.091 |
249 |
53 |
0.064 |
355 |
Pan |
0.036 |
|
Panとは,呼び寸法53μmのふるい下の微細粒子をいう。 |
表1 鋳物砂の粒度指数1) |
図1 粒度指数と通気度の関係2) |
1) 鋳物砂の試験方法 JIS Z 2601-1993
2) 日本鋳造工学会編、鋳造工学便覧、p58、丸善 (H14) |