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鋳造品の材質と用途

 溶湯を鋳型に流し込んで、固まらせた後で目的とした製品を鋳型から取り出す方法は古くから使われてきていて、仏像を始めとして古い時代に作られた製品を多く見ることができる。
それらの材質は鋳鉄であったり、青銅であったりするが、製法からわかるようにおよそ溶かすことができるものは何でも原理的には鋳造品とすることができる。
 鋳造の特徴としては(1)外形が複雑であっても、中空部のある形状であっても成形可能である、(2)形状や質量の影響を受けない、(3)耐熱合金や磁性合金など難切削合金などの成形ができることなどを上げることができる。また鋳造品の材質的な特徴は一般に凝固条件によって影響をうける。

  1. 冷却速度の影響 結晶組織は凝固時の冷却速度の影響をうける。冷却速度が速ければ結晶は微細化し、機械的性質は良くなるが、徐冷されればその逆の効果を表す。このことは砂型よりも冷却速度の速い金型で鋳造する方が機械強度は大きくなる。アルミニウム合金などはこの特徴を生かして鋳造される。
  2. 収縮の影響 冷却が一様に進行しないので、形状の影響も受け収縮量も均一にはならない。そのために内部に欠陥を残す可能性がある。また隙間が発生することなどにより最初に目論んだ形状にならないことがある。
    鋳造用として広く使われるる材料としては鋳鉄、銅合金、アルミニウム合金、鋼、その他の特殊合金などがある。
  3. 鋳鉄炭素の含有量が鋼よりも多く、冷却時に晶出する黒鉛の影響を強くうける。黒鉛の形状が花片のような形状のものをねずみ鋳鉄、球状をしたものを球状黒鉛鋳鉄と呼んでいる。ねずみ鋳鉄は耐磨耗性が良いことから軸受、歯車、ブレーキシューなど、また被削性が良いことから一般機械部品に広く用いられている。球状黒鉛鋳鉄は機械的性質(引張り強度、伸び)が優れていて、鋼と同等の強度を持つことから鋳鉄管やエンジンなどに使われる。また合金元素を添加することによって、特殊な機能を持った鋳鉄を得ることができる。
  4. 銅合金銅に亜鉛(Zn)、錫(Sn)、鉛(Pb)、あるいはアルミニウム(Al)などを添加した銅合金には、その組成により多くの性格の異った種類がある。鋳造用銅合金としては黄銅系、青銅系などが一般的である。黄銅系は良質の鋳造品を得やすく、光沢が美しいので装飾品としても用いられるが、一般機械部品や、電気部品などにも使われる。黄銅系には耐海水能力を上げるために開発された高力黄銅系があり、舶用プロぺラなどに使われる。青銅系は砲金として親しまれたもので耐圧性、耐食性に優れていることから軸受、スリーブ、ブッシュなどに使われる。また銅単体で鋳造品とすることもある。
  5. アルミ合金アルミニウム(Al)とシリコン(Si)の合金がベースになっている。シリコン以外のものが無いものをAl-Si系、シリコンに銅(Cu)あるいはマグネシウム(Mg)を添加したものをAl-Si-Cu(Mg)系と呼んで区別している。シリコンの含有量と増加と共に機械的性質は変わってくる。近年エコマテリアルとして注目を浴びていて、自動車関連部品に広く使われている。