AM法の種類

ISO17296-2:2015 AM Part2:プロセス分類には,以下の7種類があげられている.

1.液槽光重合法(Vat photopolymerization)



槽に入った光硬化性の液体やペーストに光線を断面輪郭に沿って照射し,1層づつ硬化させ積層する方法.光は一般的に紫外線を用い,紫外線レーザをガルバノミラーで走査する,あるいは,フォトマスクを用いて一括露光するなどの方法がある.また,光を上から照射する場合と,下から照射する場合がある.

1987年 3DSystems社が初めて発売.データ形式としてSTLを開発.
1988年 日本国内では三菱商事(後にシーメット)が装置を開発.

材料 ;光硬化性樹脂

通称 ;光造形,SLA(Stereolithography)

事例 ; 筑波山地形作成事例

外部動画 ;


都産技研 3Dプリンターで透明バイオリン、光造形と塗装技術 - 3D printed violin - 上面からの造形(1:23 実際の造形映像)


シーフォース 下面からの造形 (1:30 実際の造形映像,1:50CGによる説明)
  

2.材料噴射法(Material jetting)


液体フォトポリマーや溶けたワックスを液下し,積層する方法.液化装置には紫外線照射の機能,あるいは,ワックスを溶かす熱源がある.ノズルからはモデル材とサポート材が供給されるが,一般に別の素材を用いる.また,モデル材に複数の素材を混ぜ合わせることが可能.

  

材料 ;光硬化性樹脂,ワックス

通称 ;インクジェット式マテリアルジェッティング,MJP(MultiJet Printing)

事例 ; 樹脂モールド作成事例

外部動画 ;


Stratasys Objet260 Connex3 (0:14 実際の造形映像)

3.結合剤噴射法(Binder jetting)


平らに敷き詰めた粉末素材に液体の結合剤を噴射して固める.固める方法としては,化学あるいは熱反応である.色付きの結合剤を使うことにより,モデルのカラー化が可能.

1993年 理化学研究所で開発された技術を元に,Zcorporation社が本方式フルカラープリンタを発売.

材料 ;熱可塑性樹脂,金属,セラミックス,砂,石膏

通称 ;インクジェット式バインダージェッティング,CJP(Color Jet Printing)

事例 ; セラミックス砂型作成事例

外部動画 ;


3DSystems ProJet 660 (0:06 実際の造形映像)

4.粉末床溶融結合法(Powder bed fusion)


平らに敷き詰めた粉末素材に,レーザビームあるいは電子ビームを照射してモデルの断面を溶融結合させる.モデルのサポートは金属粉末の場合には必要だが,樹脂粉末の場合は一般には不要.

1992年 米DTM社が初めて発売.

材料 ;熱可塑性樹脂,金属,セラミックス,砂

通称 ;粉末焼結,SLS(Selecting Laser Sintering),DMLS(Direct Metal Laser Sintering),EBM(Electron Beam Melting),SLM(Selective Laser Melting),DLP(Direct Metal Printing)

事例 ;

自動車ホイール作成事例 実験車部品造形事例 スピーカー作成事例

外部動画 ;


リコー S5500P (1:25 実際の造形映像)

東京都産技研 アスペクトRaFaEL550C (1:49 実際の造形映像)

東京都産技研  (3Dプリンターでバイオリン,その設計と製作)
本体 アスペクトRaFaEL550C,金属アジャスター部 3D Systems ProX300

5.材料押出法(Material extrusion)


熱可塑性樹脂のフィラメントやペーストを断面輪郭にそって移動するノズルから押し出すことにより,モデルを作成する.

1989年 Stratasys社がFDM法を発明,特許化.装置を発売.

材料 ;熱可塑性樹脂

通称 ;熱溶解積層,FDM(Fused Deposition Modeling),FFF(Fused Filament Fabrication)

事例 ; ドローンフレーム作成事例

外部動画 ;


Stratasys FDM法 (0:20 実際の造形映像 0:44 CGによる説明)

6.指向性エネルギー堆積法(Directed energy deposition)

粉末やフィラメントの金属をレーザー光,電子ビーム,プラズマアークなどの指向エネルギービームで溶融し,積層することで,モデルを作成する.レーザ肉盛溶接もこの手法に相当する.

材料 ;金属

通称 ;レーザーデポジション,LMD(Laser Metal Deposition),DMP(Direct Metal Deposition)

外部動画 ;


TWI 実際の造形映像

7.シート積層法(Sheet lamination)

 

シート材を断面輪郭で切断し,各層を接着,溶接しながらモデルを作成する.

1994年 日本のキラ・コーポレーション社が紙積層装置KATANAを発売.
アメリカではHelisys Inc.現在はCubic Technologiesが発売

材料 ;金属,紙

通称 ;LOM(Laminated Object Manufacturing)

事例 ; 御巣鷹山地形作成事例

外部動画 ;


(0:15 CGによる説明)