4.実験結果と考察
(1)工具損傷状態
TiCN系セラミックス、超硬K10、焼結ダイヤモンドの3種とも逃げ面にアブレッシグな摩耗を生じただけで、割れや欠けは生じていなかった。
TiCN系セラミックスと超硬K10は焼結ダイヤモンドに比べると摩耗の度合がはなはだしく、形態としてはなだらかな摩耗であった。
焼結ダイヤモンドは実験の切削時間中にはわずかに逃げ面が摩耗し、光沢を持ったにすぎなかった。
(2)工具摩耗進行曲線
図3〜8に、逃げ面の摩耗進行曲線を示す。
図6〜8ではTiCN系セラミックスと超硬K10の比較をしてあり、切削速度が上昇すると超硬K10の場合は、わずかに摩耗が進行するようになるだけだが、TiCN系セラミックスの場合は、著しく摩耗が早く進行するようになる。
図3〜5では焼結ダイヤモンドと超硬K10の比較をしてあり、切削速度が上昇すると超硬の場合は上記した通りだが、焼結ダイヤモンドの場合は超硬K10と比べて約1/5程度の摩耗がわずかに早く進行するようになるだけである。
(3)切削仕上げ面
図9〜11に工具材種別の被削材表面粗さを示す。
仕上げ面は各工具の摩耗進行度合と比例関係を持つ、但しGFRPの性質から仕上げ面はケバ立ちがあり、金属を削った時の仕上げ面とは異なっている。
また工具の摩耗が小さいからといって良い仕上げ面になるとは限らない。
(4)切り粉
どの工具材種に対しても切り粉は砂粒状と繊維状のまざったものであった。
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