4.実験結果と考察
(1)工具損傷形態
図2-1および図2-2はSUS304切削時の工具損傷状態を示す。超硬(WC-Co-TiC系)工具は、切削速度120m/minにおいては安定した状態で切削が行われたが、切削時間30分の少し手前で前逃げ面に欠損が生じた。切削速度180および230m/minの高速域では顕著なクレータ摩耗が現れるが、それぞれ20分間、10分間の切削が可能であった。また全ての速度域で、横切れ刃の境界部に小規模の損傷が認められた。
セラミックス(TiN-30TiB2系)工具は、切削速度120、180、320m/minのすべての速度域で、横逃げ面の境界部に大きな欠損が発生したので1〜2.5minで切削を中止した。
セラミックス(TiCN-30TiB2系)工具は、セラミックス(TiN-30TiB2)と同様に横切れ刃境界部の欠損がはげしく、1〜5minの短時間で切削を中止した。
2種の試作セラミックス工具(TiN-30TiB2系)と(TiCN-30TiB2系)が、横切れ刃境界部で欠損しやすいのは、被削材SUS304の加工硬化した部分を切削するとき、工具の靱性が不足していることにより欠損がおこるものと考えられる。
(2)工具摩耗
図3に、SUS304切削時の超硬工具(WC-Co-TiC系)の摩耗進行状曲線と、寿命判定基準をVB=0.2mmと仮定した時の、寿命曲線を示す。
(3)切削仕上げ面
図4にSUS304切削時の、切削開始直後の仕上げ面の写真と断面曲線を示す。超硬工具(WC-Co-TiC系)の切削仕上面は、すべての速度域でほとんど変わらない。これに対して、試作工具の切削仕上面には工具損傷の影響が現われており、一定ではない。
(4)切りくず
図6にSUS304を超硬(WC-Co-TiC系)で切削したときの切りくずを示す。寸断されたカール状の切りくずで、切削速度による形状の変化は認められない。
(5)切削抵抗
測定せず。
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