<研究開発費予算比率別>
問3の研究開発費の売上高に対する比率で1%未満(111社)と5%以上(37社)の2グループについて問10,11,13について回答の傾向の差を分析してみる。
問13 本研究開発では切削加工条件、切削加工事例データベースの開発に関して、下記の項目についてデータを実験測定などにより収集する予定でおります。この中でニーズの高いものを知ることを目的にお尋ねします。下記の項目のなかで貴社にとって有用性の高い情報はどれでしょうか。該当する番号に○をつけてください。
(最大5つまで)
1.ステンレス材の加工データ
ステンレス材はすでに加工技術は確立されているとされてはいるが、取扱量が多く加工トラブルを起こすことが多い。ステンレス材の加工データ、トラブル解決事例を広く収集公開して欲しい。
2.難削材の加工データ
耐熱合金(インコネルなど)、チタン合金、ハイシリコンアルミ、高硬度鋼などの難削材については公開されたデータはきわめて少ない。難削材の加工データ、ノウハウの情報を収集、公開して欲しい。
3.高速切削
切削加工の国際競争力強化のためには、より高速切削を取り入れていく必要がある。高速切削に関する加工データ、加工事例の充実を望む。
4.ドライ・セミドライ加工
切削液の処理の手間、環境負荷の問題から、切削液の使用量を最小限にするドライ/セミドライ加工に関するデータを充実するべきである。
5.前加工の影響
被削材の前加工(鋳造、鍛造、圧延など)が切削加工の結果へ影響を与えている。前加工の切削加工への影響を広く調べたデータベースが必要。
6.加工トラブル解決事例
工具、切削条件の適切な選択だけでは解決できない加工トラブルは多々ある。そのような加工トラブルの事例集を多数収集し、その原因とその対処法を整理する。
7.加工法改善事例
切削から他の加工法への転換ないし他の加工法から切削への転換事例、あるいは、ジグ、カッターパスなどの工夫でコスト、精度の改善、トラブル回避を実現した事例を収集、整理し、公開する。
8.データの網羅性
工具と被削材の組み合わせについては最適なものに関する切削条件はカタログなどから知ることができるが、それ以外の組み合わせに関するデータは入手しにくい。そのようなデータも取り込んだ網羅性の高い加工条件データベースが必要。
9.工具メーカ間のデータ比較、検証
工具メーカカタログには自社製品間の比較データは詳細に掲載しているが、他社製品との比較は会社名を明らかにしないなど不十分であり、工具メーカ間の性能比較が困難である。公的機関で工具メーカ間の加工データを比較、検証し、公開する。
10.切削現象のより深い理解につながる詳細データ
切り屑生成高速度撮影、加工前と後の被削材顕微鏡写真、工具摩耗状態、加工動力の変動など。
11.高品位加工のためのデータ
工具、被削材、加工条件と加工残留歪みの関係に関する詳細データ。
12.ジグの選定、取り付けに関するデータ
加工精度、加工トラブルとジグ選定/取り付けの関係に関する事例データとその分析。
13.その他の利用したい情報 |
集計結果
集計結果を図39、40に示す。
研究開発費5%以上 難削材加工データ(16社)、高速切削(14社)、改善事例(11社)、
高品位加工(10社)が多かった。
研究開発費1%未満 高速切削(48社)、解決事例(47社)、改善事例(41社)、難削材(40社)、
ステンレス(35社)が多かった。
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図39 有用性の高い情報(研究開発費予算対売上高比率:5%以上)
図40 有用性の高い情報(研究開発費予算対売上高比率:1%未満)
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