チップブレーカ
切屑は被削材の材質や切削条件により、その出方も大きく変わるが、何の対策もしなければ作業上有害な切屑がでてくる。中でも刃先から真っ直ぐに伸びて出てくるものでは、
1) 作業者の手や指に障害を与えたり、
2) 被削材や機械に複雑に絡みついて損傷を与えたり、
3) 仕上げ面を傷付けるたり、
4) 工具をたたいてチッピングをおこしたりする。
一方、細かいせん断型の切屑では
1) 摺動面に入り込んで機械に障害を与えたり、
2) 目に飛び込む危険があったり、
3) 穴加工などでは穴を詰まらせたりする。
これらの結果作業効率を落すことにもなる。特に自動化機械ではこの種の有害な切屑の発生は避けなければならない。 チップブレーカはこのような切屑の弊害をなくするために工具に設けられるものでその役割は次のように考えられる。
1) 切屑を切断し、切屑の長さ、方向性をコントロールする
2) 切削抵抗を低減し、切れ味をよくする
3) 工具寿命を長くする
チップブレーカの動作は切刃近傍に設けた曲面によって切屑を強く曲げ、被削物などの拘束物に当てて折るという考えのもとに設計される。従ってその形状は様々で、被削物との関連や切削条件など1は被削材によるチップブレーカの違いを示したものである。また図2は超硬バイトに於いて切削条件の違い、すなわち切込み深さ、送り量によってチップブレーカの形状がどのように変わるかを示している。
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図1 チップブレーカの被削材による違いの例1)
図2 超硬バイトのチップブレーカの形状の例2)
1) 精密工学会、精密加工実用便覧、(2000)、p101、日刊工業新聞社
2) 稲田重男、寺田利邦、中沢弘、大学課程 機械工作、 (1995)、p66、オーム社
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