工具の使用分類
切削用超硬質工具材料の、用途による呼び方をJISB4053―1998では規定している。ここで言う超硬質工具材料とは表1に示す材料が対象であり、それらの材料とともにそれを表す記号が定められている。
その上で工具の用途に関して、切削の対象とする被削材と、そこに出てくる切屑の形状によって表2に示すP、M、Kの3類し、さら個々の用途がどのような被削材をどのような切削方式と作業条件下で使われるかによって細分類している。その一部を表3に示す。
例:HW-P10・切りくずの出る鋼を作業条件の比較的良い状態で旋削するための超硬合金製工具
(超硬合金の場合単にP10のみ表記でも良い)
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材料記号 |
材料の分類 |
超硬合金 |
HW
HT
HF
HC |
一般に超硬合金と呼ばれているもの
一般にサーメットと呼ばれているもの
一般に超微粒子超合金と呼ばれているもの
超硬質合金を母材としたものにコーティングしたもの |
セラミックス |
CA
CM
CN
CC |
酸化物セラミックの主成分がAl2O3であるもの
酸化物以外含んだセラクの主成分がAl2O3の
セラミックを母材としたものにコーティングしたもの
窒化セラミックの主成分がSi3N4であるもの |
ダイヤモンド |
DP |
主成分が多結晶性ダイヤモンドであるもの |
窒化ホウ素 |
BN |
主成分が多結晶性窒化ホウ素であるもの |
表1 工具材料記号と分類1)
表2 用途記号(大分類) 1)
記号 |
用途 |
P |
連続型切りくずの出る鉄系金属の切削用途 |
M |
連続型若しくは非連続型切りくずの出る鉄系金属または非鉄金属の切削用途 |
K |
非連続型切りくずの出てくる鉄系金属、非鉄金属または非金属の切削用途 |
表3 使用材料の分類の例1)
使用分類記号 |
被削材 |
切削方式 |
作業条件 |
P10 |
鋼、鋳鋼 |
旋削、ねじ切り、フライス削り |
高―中速で小―中切削面積の時、または作業条件が比較的良いとき |
K10 |
鋳鉄および特殊鋳鉄
(非連続切りくずが出る場合) |
旋削、フライス削り、中ぐり |
中速で小―中切削面積のとき、またはK列中の一般的作業の時 |
高硬度鋼 |
旋削 |
低速で小切削面積の時、または振動のない作業条件の時 |
非鉄金属、非金属材料、複合材料 |
旋削、フライス削り |
比較的振動がない作業条件の時 |
耐熱合金、チタンおよびチタン合金 |
旋削、フライス削り |
1) JIS B 4053―1998 切削用超硬質工具の使用分類及び呼び記号の付け方
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