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切削力

 被削材を削るために工具が必要とする力である。この力は被削材からみれば被削材が削られることに対する抵抗力ということもできる。3次元空間内で作用するこの力は三つの成分の力に分解することができる。図1(a)は旋削の場合、図1(b)はフライス切削の場合である。
 まず図1(a)では切削力Pの3成分としては被削物の回転円に関して円周接線方向の力Pcと、回転面内でPcと直交する力Pt、それに回転軸に平行な力Pfに分解できる。ここでPcは直接切削に関わるので主分力、Pfは工具を軸方向に送るために必要な力であることから送り分力、またPtは工具を被削物に押し付けるために必要な力でこれを背分力という。これら主分力、送り分力、背分力を切削力の3分力という。
 ここで主分力は主軸を回転するために必要な動力の大きさをきめる要素でもあり、発熱量にも影響する。送り分力は送り機構に必要な動力をきめる要素である。また背分力は被削物や工具のたわみを起こす原因にもなるのでこれが大きいと寸法精度にも影響を与える。
 同様に図1(b)の場合も切削力は3成分に分解できるが、旋削の場合とそれぞれの力の呼び方が異る。すなわち、接線分Ptaを接線方向分力、Prを半径方向分力、Paを軸方向分力という。ここでの接線方向分力は旋削の主分力、軸方向分力は送り分力、また半径方向分力は背分力に相当する。
 主分力Pcまたは接線方向分力Ptaを切削断面積Aで徐した値 を比切削抵抗という。 主な材料の比切削抵抗は、 鋼: 1.7〜10 GPa、 鋳鉄: 0.7〜3.7 GPa、 アルミニウム: 0.5〜1.1 GPa である。


図1 切削の3分力1)



1) 稲田重男、寺田利邦、中沢弘、大学課程 機械工作、(1995)、p22、オーム社
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