金属プレスHome プレスの基礎 > プレス概論 > 第14章 絞り加工の力学 : 曲げ−伸び
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絞り加工の力学 : 曲げ−伸び

図1に示すように板材を曲げたとき曲げ部分の周方向の歪みは外側の表面で最大になり、引張り応力が働く。それに対して曲げ部分の内側では圧縮歪みが発生し、圧縮応力が働く。この曲げ部分での応力分布はその材料の応力─歪み関係にほぼ等しいが、曲げ変形の中立面付近には弾性領域があり、外側と内側は塑性変型領域となる。そして力を抜いたときの残留応力は中立面付近では負荷中と同じ方向の応力分布となるが、外と内側では力が加わっているとき逆の応力分布となる。

実体面での現象は外側は材料が不足気味になり、内側は過剰気味になるので、曲げの程度がきびしくなるほど中立面は板厚中心より内側に移動する。その結果板厚中心部分は中立状態ではなくなり、引張り応力が働くので材料は周方向に伸び板厚は薄くなる(図2(a))。一方、材料が不足気味となる中立面より外側では幅方向に縮みが発生し、材料があまり気味の内側では板幅方向に広がることになる。その結果曲げ部分では図2(b)に示すようにソリが発生することになる。このソリは曲げ半径が小さく、板厚が大きく、曲げ角が大きい場合に発生する。

図1 曲げ部分の歪みと応力分布1)

 

図2 曲げ部分の幅方向の変形2)

1) 新プレス加工データブック編集委員会、新プレス加工データブック、p133、日刊工業新聞社

2) 新プレス加工データブック編集委員会、新プレス加工データブック、p135、日刊工業新聞社