真歪みεと、真応力σの間にn乗硬化式(1)が成立すると仮定し、式中のベキ数nをn値という。
(1)
n値を測定する方法は規格(JIS Z 2241)で定められている方法により、JIS Z 2201による引張り試験片を用いて、降伏伸びの終点から最大荷重点に達するまでの応力σNと歪εNの関係(
図1 )を5点以上測定する。これらの測定値から真応力と、真歪みを式(2),(3)により計算し横軸に歪み( lnε)、縦軸を応力(
lnσ)とした対数目盛り上にプロットする(図2 )。このとき測定点が表す直線の勾配がn値を表す。
(2)
(3)
板の変形は加工硬化により進行していくが、n値は板材の変形初期の加工硬化挙動を代表する特性値と考えることができるので、n値の高い材料は塑性変型領域を広げやすい性質を持っている。したがってn値を加工硬化係数あるいは歪み硬化指数とも呼ばれている。また張出し成形性を示す一つの指標とされ
n値が大きい程張出し成形に対し有利といえる。
図1 真応力・真歪みと測定応力・歪みの関係1) |
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実線:公称応力−公称ひずみ曲線
破線:真応力−対数ひずみ曲線 |
図2 n値の求め方
1) 中村和彦、桑原利彦 プレス絞り加工 p141日刊工業新聞社
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