r値は、幅方向の対数歪みεwと、板厚の対数歪みεtの比で表される。
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このr値の定義から言えば、この値の高い材料とは板厚の歪みよりも幅方向の歪みの方が大きいことを示している。このことはr値の高いことは板面内方向での材料流動が板厚方向のそれよりも起こりやすいことに他ならず、良好な深絞り性に対する指標でもある。これを円筒成形に当てはめるとr値の高い材料ではフランジ部の流動がより小さい力で行われ、絞られたカップの頭部では板厚減少によるくびれが生じにくいことを示している。
材料面から見た場合、鋼のr値は結晶方位の影響を強く受け、一般に板面に平行(圧延方向)に{111}方位粒が多くあるほど高い値を示す。通常は2.4〜2.6が上限である。r値の大きい鋼板は自動車の内・外板用に広く使われている。 |