r値は1949年にLankfordn1) によって見いだされた板材の異方性を表す特性値でランクフォード値とも呼ばれる。すなわち試験片の平行部に一様な伸びを与えたときに、幅方向の対数歪みεwと、板厚の対数歪みεtの比で表される。
(1) ただし
しかし 厚み方向の歪みを正確に測定するのは難しいので、体積一定の条件を用いてεtを式(2)のように置き換えることによってr値は式(3)のようにして与えられる。
(2)
(3)
r値を測定する場合試験片に加える伸び歪みは10-20%程度である。またr値は試験片を取り出す個所によって変化するので、圧延鋼材などの場合圧延方向から0度、45度、90度の3方向の引張り試験を行って各方向に対するr値を測定し、式(4)による平均値で表す場合が多い。
(4)
その測定結果の一例を図1に示す。
図1 冷延鋼板 SPCEのr値測定結果の一例2)
1) Lankford, W.T.,Snyder, S.C.,and Bausscher,J.A. Trans,ASM
42,(1950),1197
2) 中村和彦、桑原利彦 プレス絞り加工 p141日刊工業新聞社 |