成形限界線図とも言い Forming Limit Diagram の略称である。この図はプレス成型品の各部分の最大対数歪みと最小対数歪みを測定し、最小対数歪み(ε2)を横軸、最大対数歪み(ε1)を縦軸とする座標内にプロットして作成する。わが国では横軸に最大対数歪みを、縦軸に最小対数歪みをとる例が多い。
歪みの大きさを測る方法としてはスクライブドサークルテストと呼ばれる方法が用いられる。この方法は成形する前の素板上に図1に示すような円形のパターンを描いておいて、成形後変形した円の形状を測定する。成形後の円は楕円状になっているのでその長軸の方向の歪みが最大歪みであり、短軸方向の歪みが最小歪みである。元の円より短軸が短い場合は負の歪みを表す。
一方、プロットされた点に対応する成型品の表面の状態を観察し、くびれや破断がないかをしらべ、このような異常のある点と正常な状態を示す点とを区別すると、図2に示すような図が得られる。このように正常な状態との境界を成形限界線(
Forming Limit Curve )FLCと呼び、この限界線に近い個所は破断の危険性が高い個所を示している。
破断部の近辺は歪みは急激に大きくなるので、円形パターンが大きすぎると歪みの微妙な変化を見落とすことになる。実用的には円形パターンの直径は5−20mmが使われる。
図1 スクライブドサークルパターン1)
図2 成形限界線図の模式図2)
1) 中村和彦、桑原利彦、プレス絞り加工、(2002) p5、日刊工業新聞社
2) 中村和彦、桑原利彦、プレス絞り加工、(2002) p6、日刊工業新聞社
|