円筒絞り加工に必要な絞り力は純粋絞り変形力、しわ抑え圧による付加力、ダイ肩での曲げ、曲げ戻し力および加工材の加工硬化に基ずく附加力の和としてあたえられる。
理論的にはパンチ力( 絞り力とも言う )Pは次式(1)で表される。
(1)
ここで
P0
: |
フランジ部の半径方向絞りに必要な力 |
ΔPH : |
しわ抑え力によりフランジ部に加わる半径方向の摩擦力 |
ΔPb、ΔP’b
: |
材料がダイ肩半径部の入り口および出口で曲げ、曲げ戻しを受けるときに必要なパンチ力 |
μ : |
摩擦係数 |
φ : |
材料のダイ肩での巻付き角 |
パンチ力は図1に示すように成形の進行によって増加し、最大値Pmaxに達した後減少して成形が終了する。ここで最大値P,maxが側壁部の破断耐力Pcrを越えると、フランジの絞り変形は止り、側壁部が破断する。
ここで破断耐力については次の推定式がある。
(2)
d p : パンチ直径(mm)、 t 1 :
板厚(mm)、 σB : 引張り強さ
材料特性との関係では、r値の増加は破断耐力に対する相対絞り力を減少させ、深絞り性が向上する。またn値の増加は成形力の最大値の発生するパンチストロークを大きくする効果がある。
図1 パンチストロークと成形力の関係
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