基本的な絞り成形加工である円筒絞りの要素は図1に示す通り
である。素板(材料)を半径r2の穴の明いたダイの上に載せ、しわ押さえにより抑え
力Qで素板を抑える。ここにダイの穴径より小さい直径を持ったパンチを押し込むと
素板は塑性変型を受け円筒状容器が成形できる。
ここでダイの穴壁面と上端面との間は曲面でつながれている。この部分 をダイ肩部という。一方、パンチのほうも底面とパンチ円筒壁面の間が曲面になっ
ているがこれをパンチ肩部という。またパンチの押し込みによって成形された円筒 部分の壁面を側壁面、しわ抑えで抑えられた素板の部分をフランジ部、パンチで押
し込まれて容器の底になった部分をパンチ底部という。さらに側壁面とフランジま たはパンチ底部とつながりそれぞれの肩部と接触し、曲面形状になっている円弧角をなじみ角と呼んでいる。
フランジ部分は成形が始まるとその外周部は圧縮応力を受けるために縮 もうとし、しわまたは面歪みなどが発生する。しわ抑えはそれを防ぐためにある。
この縮みの原因はパンチの押し込みによって素板の要素部分が半径方向に流れるの が原因である。そこでこの流れや張力を制御することを目的として、ビードが設け
られる。ビードはフランジ部分に窪みを作ることにより、フランジを変形させ、流 れを止めてしわの発生を押える効果がある。その形状はいろいろなのものがあるが、
ダイ穴輪郭線の全周か一部に設ける一対の凹凸である。
図1 成形機構
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