選択項目	構造特性：表・断面観察像 / めっき材料：Ni / Hirose-産総研2008 / 光沢剤の影響

電気ニッケルめっき断面観察像 / 光沢剤の影響

めっき材料	ニッケル(Ni)
めっき法	電気めっき
素材	銅板 (ｻｲｽﾞ 100 mm×20 mm)
陽極	電解ニッケル
前処理	研磨(#1500 不織布)→水洗 → アルカリ電解脱脂 (電極間距離 40 mm, 脱脂温度 65℃, 脱脂時間 1 min)→水洗 →10%硫酸超音波浸漬(浸漬時間 5 min)→水洗→乾燥
めっき浴	硫酸ニッケル(Ni2SO4･6H2O) 210 g/L 塩化ニッケル(NiCl2･6H2O) 60 g/L ホウ酸(H3BO3) 30 g/L 一次光沢剤 サッカリン 1.65 g/L 二次光沢剤 ブチンジオール 0.15 g/L ピット防止剤 ラウリル硫酸ナトリウム 5 mg/L
めっき条件
	ニッケルめっき (ワット浴) 光沢ニッケルめっき (ワット浴+光沢剤) 浴温度 52℃ 52℃ 電流密度 6.25 A/dm2 10 A/dm2 めっき時間　 50 min (クーロン数4500 C) 25 min (クーロン数4500 C)
めっき後処理	光学顕微鏡 [ 断面組織観察用試料作製] 試料切断 ⇒ 樹脂埋め ⇒ 研磨 ⇒ 硫酸・硝酸エッチング

　電気ニッケルめっきの光学顕微鏡による断面観察像です。観察像では、光沢ニッケルめっきのめっき時間をニッケルめっきの半分にし、めっき膜厚を揃えています。
光沢剤とピット防止剤を含めないワット浴を用いた電気ニッケルめっきの場合では、素材に対して垂直方向に柱状の結晶構造が形成されています。一方、光沢剤とピット防止剤を入れた場合では、素材に対して平行な方向に層状の結晶構造が形成され、光沢のあるニッケルめっき膜が形成されています。
光沢ニッケルめっき層には若干の硫黄(S)が含有しており、無光沢ニッケルめっきに比べて耐食性が落ちています。また、硫黄は、熱脆化の原因となるため、めっき後熱処理を行うものについては注意が必要です。

出典： 廣瀬伸吾, 江塚幸敏, 松田五明, "産総研めっき実験データ", (独)産業技術総合研究所, (2008).