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寿命方程式

 工具の損傷には摩耗型と欠損型があるが、欠損型のなかでも初期チッピングや刃先の欠落などは突発的でほとんど予測できない。しかし工具の寿命のほとんどが摩耗型の損傷で決まるので、その損傷を起こすまでの時間を予測をすることは生産コストから見て大変重要な事項である。

 摩耗型損傷の程度はすくい面にでるクレータの深さKTと、逃げ面に発生する逃げ面摩耗の幅VBの大きさで決められる。その判定基準は規格(JISB 4011)で表のように定められていて、この基準に達するまでの総作業時間を寿命時間とする。テーラによる実験では切削速度Vと寿命時間Tとの間には次式(1)の関係があるとされ、これを寿命方程式と呼んでいる。
              (1)
ここでnおよびCは工具と被削材の関係で決まる常数である。

 上式(1)の両辺を対数にとり整理すると式(2)のようになり、切削速度と寿命時間を対数座標上にとれば切削速度は勾配nの直線で表される。
         (2)

図1はステンレス鋼を各種超硬合金工具で切削したときの切削速度と寿命判定基準までの時間の例であり、式(2)の関係のあることが分かる。これを寿命曲線という。


表1 寿命判定基準 (JISB 4011)
摩耗区分 寿命判定基準 主な適用切削条件
すくい面摩耗深さ : K T 0.05−0.1 mm 切削全般
逃げ面摩耗幅 : VB 1−1.25 mm 普通鋳鉄などの粗削り
0.7 mm 鋳鉄、鋼などの一般切削
0.4 mm 特殊鋼などの切削
0.2 mm 精密軽切削、非鉄合金などの仕上げ削り


図1 寿命曲線の例




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