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MQL切削

 Minimum Quantity Lubrication (微少量潤滑)は環境対策および省資源的観点から考え出された方式で、極微量の切削液で切削を行おうとするものである。切削液の役割の一つとして冷却作用があるが、微量の切削液だけでは冷却効果はあまり期待できないので、現在考えられている手法は切削液を数ミクロンの霧状にして高圧空気と共に吹き付け、空気によって冷却を行わせるという方式をとる。この時の圧縮空気は切りくずの排除も目的としている。

 この方式には多量の廃油による環境汚染を防ぐという目的もあることから、使われる油剤も有害物であってなならない。また霧状にすることから作業者が吸い込む可能性もあるので、吸い込んでも安全であることからも求められる条件である。さらに使われる量が微量であるので、微量でも潤滑効果の大きい油剤であることが必要である。そのため使われる油としては合成エステル系あるいは植物油などが使われる。この方式を構成する装置としては油を微小粒径にする装置と、空気に混ぜて吹き付けるノズルとからなっている。
 MQL切削で使われる工具としては高い潤滑性と断熱性が求められる。そのような工具としてTiN、TiCN、TiAlNなどをコーティングしたもの、あるいは軟質金属に対してはダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライックカーボン)工具が適当と考えられる。 この方式では多量の切削液によって切りくずを機械から排除することが難しいので、使える工作機械は限られる。また高圧空気を使うので騒音問題の解決が必要である。まだ開発段階の切削法と言える。



図1 MQL切削用ノズル1)



1) 稲崎一郎、MQL切削の動向、トライボロジスト、47(2002)7、519


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